オレンズのマーケティング分析 オレンズとデルガードはターゲットが異なる?

以前のクルトガの記事で、クルトガは、「疲れにくさ」のみを追求するシャープペンシル市場に、「疲れること以外にも、不満はある」という新たな気づきを与えると同時に、市場の構造を作り変えたとお話ししました。

 

今回ご紹介するオレンズ(ぺんてる)や次回ご紹介するデルガード(ZEBRA 読み方:ゼブラ)も、クルトガの製品開発に対する姿勢を引き継いでいる製品と言えます。

 

筆記に対して消費者が感じる不満は、「書いていて疲れること」以外にも実はたくさんあることに、両社ともクルトガのヒットで気が付いたのだと考えられます。

 

両メーカーが探求した結果発見した不満は、「筆圧をかけると芯が折れる」というものです。ゼブラの調査において、多くの人は、芯が折れたり詰まったりするときに集中力を奪われる事がわかっています。

シャープペンの芯折れによる集中力への影響:https://www.zebra.co.jp/press/news/2015/0109.html

 

ところで、ここで個人的な考えを述べると、「芯を折りやすい方」には、共通点があると僕は考えています。それを、以下に記します。

  • 正しい持ち方で書いていない
  • 筆圧が強い(正しい持ち方でないと相乗的に強くなる)

 

消ゴムの比較を自由研究で行うくらい文房具が大好きな僕は、人が書いているときの持ち方にも興味があり、中学生の頃からよく見ていたのですが、正しい持ち方をしていない方は、女性の方が圧倒的に多い印象です。

 

そして、芯を折る人も女性の方が多いと感じますし、その人はやっぱり正しい持ち方をしていない事も多いです。また、斜めにペンを持っている事も多いです。この観察結果をもとに、上記二つの要因を掛け合わせると、芯の折りやすさを表す事になります。

 

芯の折りやすさ=(持ち方による芯への負担)×(筆圧の強さ)

 

この折りやすさが高い人は、男性よりも女性に多いと僕は感じており、芯が折れにくいシャープペンシルを求める人には女性が多い、という仮説を持っています。ぺんてるが僕と同じように考えていたかはわかりませんが、「芯を折る」=「女性」という発想には、僕自身はクルトガのときと同じくらい納得してしまいました。

 



オレンズのターゲットは、「細かくノートを取りたい人」でもある

オレンズが女性にフォーカスしていると感じる理由には、発売をしたのが0.2の芯径のものだったということも挙げられます。芯径0.2は、現存するシャープペンシルの中で最も細い部類に入ります。0.2では、字がうすくなるデメリットがある一方、字がつぶれにくくなるメリットを得られます。ゆえに、字が潰れてしまうことを防ぎたい人をターゲットにしていると思われます。

 

字を小さく、綺麗なノートを取りたいと思う。おそらく、男性よりも、女性の方が当てはまるのではないでしょうか。

 

この事からも、やはりオレンズは初めから女性にアピールしていたと考えられます

 

オレンズは女性にフォーカスしていた。そして、それがしっかり伝わっていた。

オレンズの女性へのアピールが伝わるのは、製品のパッケージデザインとカラーバリエーションです。

 

まず、パッケージデザインですが・・

オレンズの方がロゴタイプ、フォント、カラーが可愛らしく、デルガードの方が、ゴツいゴシック体やイタリック体(こんな感じの斜め字)を使ったり、ブルーを使ったりとスタイリッシュです。パッケージを見比べると、オレンズのほうが女性の目を惹きそうです。

 

次に、カラーバリエーションですが、オレンズは、初めに出した5色を、エナメル質のツヤを出し、CYMK調の鮮やかなカラーで揃えています。ファッション誌を見れば、これらのカラーを使うのは女性誌で多いことは明らかであり、このカラーリングも、女性ウケを狙っていると感じます。

 

オレンズ商品ページよりhttp://www.pentel.co.jp/products/automaticpencils/orenz/

 

一方でデルガードは、男女問わずターゲットにしているようなカラーです。特に、黒と濃い青。これは男性向けなデザインな気がします。

 

また、デルガードの誇るデルガードシステムが裸で見えるところに、どちらかというとオレンズよりも機能美を感じる男性は多いはずです。機能のコアであるシステムをスケルトンで見せるデザインは、好奇心を誘います。クルトガを参考にしているのかもしれません。

デルガード報道資料:https://www.zebra.co.jp/pro/del_guard/

 

さらに芯径について言うと、デルガードに関しては、初めに発売した製品が芯径0.5のものであり、芯径0.7という太いラインナップが存在することから、「ノートを細かくとる」人にフォーカスしているわけではないと考えられます。

 

オレンズは、迷わせない

読者の皆様につきましても、専門知識がない物事に関して、その選択のバリエーションが豊富なとき、どれが自分に合っているのか悩んでしまう事はありませんか?それは、欲しい商品の軸を明確に決められないのもそうですが、製品がどれも似たことばかり謳っているということもあると思います。

 

そんなことが多い現代において、オレンズは、珍しいくらい「迷わせない」製品だと感じます。このオレンズの開発〜販売における一貫性はからは、学ぶことが多いと思います。

 

今回は以上です。次回は、デルガードに関してマーケティング分析を行なってゆきます!

 

次回はこちら

 

制作:ゆるリサーチ

提供:あたまのなかのユニバース

 




 

 

やてん

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