「褒め言葉」と消費・マーケティング・PEST分析

最近、都内の大学の文学部に通っている子と話す機会がありました。妹も文学部でして、文学部が家族にいることもあって、話がちょっと合ったので話をしていると、「ジェンダーの褒め言葉」に関して簡単な研究を行ったそう。

 

「ジェンダーの褒め言葉」とは、その子の話をまとめると、「その性が社会的に求められていることに対しての賛辞」だそうです。例であげていたのは、「女性にとって『可愛い』は褒め言葉だけど、それは女性に『可愛さ』が求められているからですよね?」とのこと。なるほど。

 

逆に言えば、「男性が可愛いこと」を社会が求めれば、男性を褒める言葉は「可愛い」になるってことですね。違和感しかありませんが、確かに褒め言葉は時代とともに変わってきたのは間違いないですからね。

 

平安時代の頃は、ハチがはった顔や、なで肩で恰幅が良い女性が好まれたと言う話もあります。当時、「スリム」は褒め言葉ではなかったのです。今から考えれば逆ですよね。昨今人気が高いのは、今年の前期CM女王で、いろんな女性誌でも表紙を飾る白石麻衣さんのような方なのでしょう(もちろん好みはあるでしょうが)。彼女は小顔でスリムです。でも、平安時代では好まれなかったかもしれない。

 

深いなぁ、と思いつつ、そこでふと気が付いたことが、「褒め言葉が変わると消費が変わる?」と言うことです

 

褒め言葉が変わる=理想のイメージが変わる=ギャップを埋める手段が変わる=消費が変わる

ここ最近、女性が社会に進出し出してきているとの話を聞きます(良し悪しの問題ではない)。それに伴って出てきた文言が「働く女性のために」のキャッチコピー。女性に働くことが求められているのかはわかりませんが、昭和〜平成までで、大きく消費において市場が変わってきているのだと思います。

 

働く女性が増えれば、「働く女性としての良いイメージ」が人々の中で形成されてゆくでしょう。そして、その姿と自分のギャップを埋めるために、様々な企業が企画を立てるようになってゆくと思います。今の「いい女」イメージが変わるに連れて、商品のデザインも変わるでしょうし、好まれるメイクとかも変われば化粧品とかもまた変わるのでしょうね。

 

必要なモノのカテゴリー自体も変わるでしょう。大学生時代、「やっぱり、少ない荷物を小さいカバンで持ち歩ける女性になりたい」と話す人がいて「いい女は荷物が少ない」イメージがあるんだなと感じたことが印象に残っています。ですが、仕事がデキることがそれ以上に求められるなら、今、男性の多くが持つブリーフケースのようなカバンを持ち歩く女性を「いい女」と呼ぶ時代が来ることもあり得るし、その社会の中では「荷物が少ない女」は「おかしな人」と見なされるかもしれません。

 

また、化粧といえば女性というイメージですが、男性に求められることが「瑞々しい肌(自分で書いてても違和感ある)」になれば、化粧品の需要がほぼ倍に伸びるでしょう。今は清潔感とかが前にきていますが、モチモチお肌の男性が求められることが・・来る・・かもしれません・・。これは困った笑。



新たな褒め言葉を作ってゆくことは、マーケティング?

今までは、「社会が求める性(ジェンダー)」と言う大きな意思に関して考えましたが、逆に、これは人工的に作られるものでもあります。新たなニーズを作ると言うことは、マーケティングそのものではないでしょうか。個人的なマーケティングの定義(以前の記事を参照下さい)にも合致しています。

 

新たな褒め言葉(新たなジェンダーの良いイメージ)の浸透には、莫大な努力が必要でしょう。ただでさえ、消費を牽引する層(マジョリティ層)は、「みんなが使うようになったからそれを使う」と言うタイプです。その人たちを動かしてようやく、社会的な褒め言葉は変わります。それまでは周りとちょっと違うものをを持っていても、「こだわりがある」「自分を持っている」くらいにしか思われません。

 

以前はマスコミのCMやトレンディドラマがその役を担っていましたが、今はみんな見る広告が違いますし、メディアも人それぞれです。雑誌の売り上げも芳しくなくなってきているとあり、消費が多様化してきていることを表していますが、では、そんな中、どうすればマーケティングを成功できるのでしょうか。

 

必要なのはPEST分析の視点。特に政治を読む力

難しい問題だなと思いますが、もっとも強いのは法律の力かと個人的に思います。トップダウンな影響力を持っている政治と相乗的なマーケティングが現状最強かもしれません。自社の事業の方向性を決めるに当たって、外的要因を分析する手法としてPEST分析と言うものがあります。これは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の頭文字をとってまとめた分析で、4つの要素と自社の事業の関わりを考える手法です。この中で、他の要素から影響を与えられにくく、一番他に影響を与えられるのはPolitics(政治)かと思います。他は、どちらかと言うと、互いに影響を与え合っている要因ですから。

 

女性の社会進出に関しても、国が何らかの指針を立てると世の会社は影響を受け、採用を増やす、育児に関して補助をするかもしれません(と言うかせざるを得ない)。そうなると、社会が女性に求めるものは変わってゆくかもしれないし、付随して女性のモノの消費は変わるし、それに乗っかるマーケティングをすれば、ターゲットに刺さります。

 

新聞を読むのは大事、大事と言われますが、そう言うことかもしれませんね。

 

ジェンダーの褒め言葉は、消費・マーケティングと関わりが深い

長く考えを書き連ねてきましたが、冒頭での疑問に自問自答すると、僕は「ジェンダーの褒め言葉は、マーケティングと関わりが深い」と考えます。また、ジェンダーの褒め言葉が消費やマーケティングに影響を与える一方で、消費やマーケティングがジェンダーの褒め言葉にも影響を与えうることも考えられます。

 

他にも、PESTの内、政治的な力や、技術革新によっても、ジェンダーの褒め言葉が変わる可能性があると気づきを得られました。今後、政策を見る目が変わりそうな気がします。色々なものを、今回のような視点からも見てゆこうと思いました。話題をくれた子には感謝です。

 

注釈:アイキャッチ画像は、https://ferret-plus.com/downloads/5b3db2d16ef5e41d7300001a

のスライドからいただきました。

制作:ゆるリサーチ

提供:あたまのなかのユニバース

 




やてん

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