農水省で行われた「肥料取締制度に係る意見交換会」の議論内容を整理してみた。

こんにちは、やてんです。久しぶりに農業の話をしようと思います。

11月27日、農水省に行ってきました

11月27日、「肥料取締制度に係る意見交換会」に傍聴人として参加してきました。もともと肥料・農薬関係の仕事に就いていたこともあり、この業界の端っこで、どんなことが考えられているのかに興味がありました。

今後も農業の仕事に就く可能性が高いので、先端でどのようなことが考えられているのか、という「今後のトレンド」を知ることには価値があるとも思いますし、仮に農業者の方がこの記事を読んで、「役に立った」と思うのであれば、こうやって残しておくのも良いなと思い、参加しました。

ちなみに、農業者ではない方にも、結構重要な話な気がしますので、農業者以外の方にも読んでいただけたらと思います。。

肥料・土・制度が主な内容

話は2時間ほどでした。農水の方が制度の課題を発表し、その後、委員の方(肥料メーカーや、全農の肥料担当、有機肥料関係の会社、土壌に関する研究者)がそれぞれに課題を互いに発表し、その後、議論が行われました。まとめると、肥料自体の課題、土壌に関する課題、制度が抱える課題の3つに分けられそうです。

ただこの3つは相互に絡み合っている問題で、一つづ順番に解決、と言うよりは、お互いに改善しながら、調整しながら解決しなければならない課題だとも思うので、最も重要なのは「目指すべき方向性を数字で定める(誤解が無いように)」と、そのための「連携」なのだろうと感じました。

肥料自体の問題

今回行われたこの意見交換会は、「肥料が高止まりしてしまうので、農業コスト減少・あるいは、国内の余ってるけど使えていない資源を肥料として活用するために、制度を変えようと思うから、それぞれの立場から意見を聞かせてほしい」という農水省の声かけによって設けられた会です。

そのため、肥料に関しては再生資源(堆肥など、うまく活用できていないもの)を如何に活かすか、が議論の焦点でした。その活用法の一つが、混合堆肥複合肥料のようです。この肥料は堆肥(鶏糞や牛糞)と、化成肥料が混合された肥料です。有名なのは、JAの「エコレット」です。

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参照:https://www.zennoh.or.jp/activity/hiryo_sehi/yokusei.html

農家の年齢が上昇しているので、堆肥を撒く余力がない、との話をよく聞きますし、事実、自分が堆肥を撒いたことがある身としても、これを70歳でやるのはしんどい、と思います。それを、機械で肥料を撒くついでに行えるようになると言うのは画期的です。

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粒状で機械散布可能。

また、土壌に関する課題とも関係しますが、堆肥は土壌の環境を改善してくれます。ですが現実問題、堆肥の散布量は減少傾向です。つまり、土壌は痩せてきているのです。その点で、混合堆肥複合肥料はそれを解決してくれる商品として、国・民間両方で期待されているようです。ただし、その成分比に関して、より堆肥の比率を上げられないか?と言う意見が多かった印象です。

現在、混合堆肥複合肥料中の堆肥の比率は50%まで、となっていますが、肥料成分あたりのコストは、化成肥料よりも堆肥が安い(化成肥料は原料を輸入に頼っている理由で価格が高止まりしている)こともあり、先ほどの土壌の問題もあるので、より、比率を向上させたい、と言うことです。

堆肥を混合させられる状態にするのも大変

もう一つ、混合堆肥複合肥料に関して話題に上がっていたのが、その原料として使われる堆肥の条件についてです。このタイプの肥料の原料とする堆肥には満たすべき条件がいくつかあるようですが、中でもネックの問題は、堆肥中の水分を減らさなければならないことのようです。

実際に排泄される糞の水分率は、求められる基準よりも高く、乾燥させる必要があるようです。しかし、混合堆肥複合肥料を製造する上で混合させる大量の堆肥を乾燥させるには、大きな機械が必要で、その投資に関しては、国として支援が必要ではないか?とのことでした。

この問題も、肥料の配合に関する問題も、農水省の制度の課題とも関わってきます。やはり、これらの課題は密接に絡まっており、独立に解決させるのではなく、同時並行で解決させてゆかなければならないと感じました。

これまでは、肥料・土壌・制度の三つの課題のうち、「肥料」に関する課題に関して整理してきました。次に、土壌に関する課題について整理してゆきます。

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やてん

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