革質×色×形の三つで決める、オシャレでセンスある革財布の選び方
毎日使う物というのは、ほとんどの人が真剣に選びたくなるはず。そして財布は、決して安い買い物ではない事もあって、間違いなくその一つでしょう。そんな真剣に選びたくなる物であるが故にか、大小様々なメーカーが毎年、数多のこだわりの商品を市場に流します。材質と、それに加える加工、色、形態をそれぞれ変えさえすれば、財布は服と同様に、無限に分類されます。
自分なりのポリシーが確立できていれば、財布は選びやすい物です。一方、そのポリシーが定まらないうちに買ってしまうのは危険です。毎日持ち歩くものが不便であると、途端にその面倒を避けたくなるのが、人間というものです。 使ってみると、「自分の使い方に合わない」、「テイストが一時的に好みなだけだったからか、飽きてしまった」など、買った後に、買う前に検討できたはずのポイントを見逃してしまう可能性もあります。安くないだけに、それは避けたいところです。
また、話は変わりますが、最近、財布をオススメするインターネット上の記事では、オススメの財布をかなりの数(40選とか)紹介しており、結局どれが読者にとってオススメなのかをわかりづらくしている節もあります。
そこでこの記事では、これだけは守った方が良い、という財布選びの根底にあるルールを書き留めておこうと思います。立ち寄った方の財布選びの参考になれば幸いです。
財布選びの三つの基準
大きな基準は、三つあります。
- 革質(牛、馬など革の種類、あるいはシボ、型押しなど加工方法)
- 色(バイカラー、トリコロールなど含めて)
- 形(ジップ、折り方など)
そして重要なのは、これらの知識ではなく、これらそれぞれが人に与える印象、あるいは向き不向きを知る事です。
印象に関して具体例を出すと、スーツにも普段着にも使いたい場合に、真っ黄色の財布を持つ事に違和感を感じる人は少なくないはずです。これは黄色にポップさやカジュアルさを人が普段感じるからです。
また、向き不向きに関しては、普段から革靴を手入れする習慣がない人や掃除が苦手な人に、コードバン(馬のお尻の革で、水に弱い)の財布は不向きだと僕は考えており、美しい光沢があり高級感があるからと言って、手放しに「良い物」とオススメはできません。
選び方を強制するわけではありません。黄色い財布をスーツから出しては絶対にダメというわけでもありません。が、それは、基準を知ってからでも遅くはありません。ルールは破るためにある物でもありますし、あえて破る事は、個性を出すための一つの手段とも思います。
「あえて破る」と書いた事には理由があります。正法を知った上での奇法は、正法を知らない上での奇法よりも個性がセンスとして光りやすく、人からも好印象になりやすいためです。正法とは、人に広く理解されているものです。それを踏まえた上で、うまく奇法を絡められるバランスコントロール感覚こそ、センスと言える、というのが僕のスタンスです。
そういうわけで、今回の記事では、「正法」に特化して選び方を書いてゆきます。噛み砕くと、「人から見て、自分に似合うと思われる物を選ぶ方法」を書いてゆきます。奇法をどう使うかについては、個別に物を紹介する中で、これから紹介してゆけたらと考えています。
結論
この記事の結論は、下記のようになります。
- 革質で、フォーマル←→カジュアルの軸を作り、選択
- 色で、フォーマル←→カジュアルの軸を作り、選択
- 形は、財布の持ち歩き方、お金の扱い方について選択肢を作り、選択
革質と色でフォーマルorカジュアルの指標を作り、形は自身の持ち歩き方によって考える、という感じです。
以下、詳細を見てゆきます
革質:財布の性格
一つ目の革質ですが、その加工のされ方や革の種類によって、カジュアルか、フォーマルかが分かれます。
まず、革の厚さですが、薄い革になれば、よりフォーマルに近づき、逆に、裏を研磨させていない、未加工に近い厚い革は、カジュアル向きです。
次に、革への型押しです。型押しレザーはフォーマルである事が多いです。特に「サフィアーノ」と呼ばれる型押しレザーは、大人向けの革小物に使われる事が多いため、フォーマルに近いです。一方、型押しがないスムース(表面の滑らかな革)レザーは、カジュアルにも、フォーマルにも適応します。スムースレザーの場合、薄い物であれば、カジュアル、フォーマルのどちらにも使いやすくなります。
最後に、革の原料となる皮の種類です。これは先ほど挙げたコードバンがわかりやすい具体例ですが、コードバンのように、革質由来の光沢が強い物は、フォーマル側に偏っています。後述のように、色にカジュアルカラーを用いたとしても、革質についたフォーマルなイメージが強く残るため、フォーマルに分類されます。先ほど、黄色い財布をスーツから取り出す事に違和感がある、と書きましたが、これがコードバン素材の場合、違和感を感じられずに黄色い財布を使えるでしょう。
もう一つ、ブライドルレザーと呼ばれる、蝋を染み込ませた革素材が曲者です。水を弾き、硬く、堅牢なイメージを与えるこのレザーも、フォーマルな印象が強い革です。材料に採用するメーカーに、伝統・紳士のイメージが持たれる英国メーカーが多い事も手伝って、かなりフォーマル寄りの革質です。
他の革(牛、豚)に関しては、他の要素(上述の2要素と、色など)によって、カジュアル、フォーマルのどちらにも適応できます。
以上が革質です。次は、色についてです。
色:持ち主の個性
色については、トーンによって変わります。スーツに使われる色に近づけばフォーマルな色になりますし、そこから離れ、彩度が高い色になれば、カジュアルになってゆきます。同じ茶色でも、スーツに近い、ダークブラウンではフォーマルな印象を与え、明るくオレンジがかったブラウンでは、カジュアルな印象を与えます。
もちろん、これも、革の質感を変えることでコントロールすることが可能ですので、好きな色が明るい色で、その色を取り入れたい場合は、革の質感によってフォーマル成分を追加し、カジュアルさを抑える、という手もあります。例えば、赤色のブライドルレザーを使うなどです。
また、黒など暗い色が外貼りに、黄色など明るい色が内貼りになっているようなバイカラーのタイプを使えば、フォーマルをふまえつつ、遊び心を表現する事も可能です。
さらに、「ムラ染め」と呼ばれる、染色によってグラデーションを持った革が使われているものもあります。代表的なのはYUHAKUの製品ですが、この革は、フォーマルとカジュアルを共存をさせる上に、ただものならぬ色気を醸し出す物です。
こういった風に革質も考慮しながら色を選ぶことで、だいたいの色で、幅広いシーンでも使える物を選べます。
以上が、色に関してです。革質と色の組み合わせによって、バランス良く好きな財布を選べるようになれば、まず、格段に選択肢を絞ることができます。
財布の形:持ち主の生活観、お金に対する価値観
最後に、形態です。長財布にするのか、折りたたみの財布にするのか。ジップ、がま口にするか・・。どれが、どのような人に向いているのでしょうか。 僕は、革質や色のような、選ぶ際に好みで分かれるようなものに対して、形の選び方には、明確な答えがあると思っています。
それは、財布の持ち運び方です。普段から軽装で小さいカバンを持つならば、コンパクトに折りたためる物が優れていますし、マチの薄い鞄やスーツの胸ポケットならば、薄い長財布が向いています。 カードをたくさん持つならば、ジップのタイプ、特に、ハニーセルが良いでしょう。
小銭をよく使うのか、それともほとんど使わないのか。それによって、小銭入れ付きにするのか、なしにするのか。また、どの程度小銭が入るものにするのか、が変わります。
というように、自分が財布をどのように持ち歩くか、どうお金を使うのかによって、選ぶべき形はある程度決まります。
もちろん、形選びにも感性が顔を出すことがあります。「なんとなくお金持ちっぽく見えるから」という理由で、金属の装飾が強めの長財布を持つ人もいますし、「キャッシュレス決済の時代でしょ」と、スマートさを演出するために、クラウドファウンディングなどで作られた超コンパクトな財布を持つ方もみえます。
ただし、これはある程度の自分の好みや自分の使い方を認識した上で到達する領域で、基本を知らずに感性で形選びをすると、買ったあとに不便さに気を取られ、時間を置かずに買い替えたくなると考えられます。これについては、「失敗しない買い物ののための5つのポイント」でも触れていることなので、ご興味あれば、合わせてチェックしていただけると嬉しいです。
例示:筆者の実際の財布選び・まとめ
僕の場合、黒い薄型の長財布を使っています。まず、色は、汚れがわかるのが嫌だったので、黒にしました。また、型押しのレザーにしましたが、それは、鞄の中で他のものとぶつかって傷ついても、傷が目立たないからです。形を長財布にした理由は、お金を曲げたり折ることに抵抗があるからです。というのも、お金は、一時的には自分が所有していても、実際のところは自分のものではなく、みんなの物だ、という考えがあるからです。また、普段使うのがA4くらいの薄いサコッシュ兼クラッチバッグなので、薄い長財布を使っています。
もう使い始めて7年目くらいになるのですが、これを超えるものがなかなか現れないので、ヘタってきているのですが替えずにいます。色については今後変わるかもしれませんが、持ち運びについて変化はないと思うので、僕は今後も薄型の長財布を使ってゆくと思います。小銭は一月に一回使うかどうか程度なので、そろそろ分離することもありかもと考えています。
・・・とこんな感じです。今すぐに自分の使い方を考えてみるのは難しくても、これから使っている最中、「あ、自分はここを不便と感じているな」「自分の財布のこの機能気に入っているな」など、少しずつ自分の選び方のタネを見つけ出し、自分にあった財布を選ぶための基本的な基準を作り上げていってもらえたら、と思います。
今回はこのへんで。今後は、変化球な財布の特徴や、人による向き不向きについても語ってゆけたらと考えているので、よかったら今後も訪ねてもらえたら嬉しいです。
提供:あたまのなかのユニバース