外需と内需、「地域の活性化」に関して話を聞いてみた

地域の活性化とは何ですか?

昨日、転職先として気になっている会社の副社長の方と面談をしました。会社の説明はあまりなく、「どんなことやりたいですか?」「前の会社は何が合わなかったか?」とか、個人的で込み入った話をしました。

 

自分の核でもある「地域の活性化をしたい」を話したら「地域の活性化とはなんだと思いますか?どんな状態が地域が活性化されている状態ですか?」と聞かれました。聞かれることは想定内で、「地域の活性化は、人口の流入≧流出である状態と、休日の内需を持つこと」と応えました。定義を持っていることには興味を持っていただけたようですが、「でもそれは現実問題難しいね」とも言われました。

 

まず、人口の流出は、単純に「人口の分布の問題」とのこと。都市圏には学力の高い大学が多いから、そちらを目指す若い人が流出することは防げない、とのこと。これには大賛成です。そして、そのまま都市に在住する人が多い。なぜなら、仕事は人が多いところにあるから。「今は東京で頑張りたい」という人は、やっぱり多いんだそう。

 

また、仮に都市のギスギス(都市はギスギスしているらしい笑)した雰囲気が息苦しくなって地方への移住を考えたとしても、地方の人口分布は高齢者側に偏っており、亡くなる方の人数を流入人口でなんとかするのは難しい、とのこと。これには移住政策が必要なほどだそうです。

 

外需→内需の戦略策定は止むを得ない流れ

では、移住政策など、地域の財政を圧迫しかねないリスキーな状態を望まず、地方が民間として地方への移住を狙うにはどうするかといえば、現在盛んに行われている都市での「イベント」を導線にすることがセオリーなんだとか。まず知ってもらう、そして来てもらう。その中で、地域で仕事をしたいと思う人を迎え入れる。それが、やっぱり今の潮流だとのこと。

 

会津で自然農法をやっている友人がときどきイベントをやっていますが、それもこの一つの手段なのでしょう。僕はそのイベントに参加しましたし、純粋にイベントとして楽しかったです。しかし、それきっかけで会津に移住までする人はそんなに多くはないだろうなぁとも思いました。その解決策が、「都市で外貨を稼ぐ」ことと反対の「内需を増やすこと」だと思いましたし、そのためには「休日に時間を潰せる場所が地域にあること」が大事だと感じていました。

 

「内需の開発」はタイムベースで考えていました。自分の余暇をどこで、何をして過ごすか、という選択肢の話です。余暇を都心で過ごすのか、地域で過ごすのか。仮に地元に過ごすところがあれば、街にお金が落ちますし、そのお金が回れば地域で価値創造のサイクルが生まれやすいです。一方、都心で販売イベントを催すなど、「文化の輸出」をしてしまうと、「結局東京で買えるから地方まで行く意味がない」と思われ、人口の流出には歯止めがかからないと思ったのです。

 

でも、都心に人が流れるのは、「学校・仕事」や「生活の基盤が整っているから」とかが大きいとすれば、特に「学校・仕事」に関してはタイムベースの理論でいうなら「余暇」よりも、もっと大きな要素(つまり、余暇以上に時間を使っている)なのです。

 

そこまで言われると、打つ手なしかな〜笑。地域の退廃は、止められなさそうだと感じました。ただ、僕はこの1時間ほどの対談で、ある気づきを得ました。

 

農業の課題と地方の課題は分離できる

今回の話を踏まえると、「地域の課題」は「農業の課題」とは違う次元で動いていそうということです。僕はそもそも、地方の若者は、耕作放棄地が生み出す「悪い景観」や「農業の後継者不足」からくる活気の無さと「都心での生活」とを比較して人口流出が起こると考えていました。都心とのギャップの大きさが、人口流出の度合いを説明すると考えていたのです。

 

よって、農業という産業が、元気な若い人によって行われることは、農業の課題である「後継者不足」や「耕作放棄地」を解決するついでに、「地域の問題」も解決してくれると思っていました。「農業方面でのアプローチ」とは、そういうことです。実際に、農業法人の設立や農外法人の農業参入によって耕作放棄地の増加が抑えられている、と農水省から報告があります(少々古いが:http://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/h18_h/trend/1/t1_2_2_03.html)。また、農業法人や農外法人の平均年齢は若く(だいたい30〜40)、地域に若い人が参入してくるきっかけにもなると考えていました。

 

ですが、仕事がないから、学力をつけたいから、東京行きたい気持ちはわかります。僕は3人兄弟の一番上で、東京の大学など想像もできませんでしたが、もちろん東京の大学に行きたいとも思っていました。また、地元の空気と東京の空気が違うことも、現在、僕自身も感じているところです。こう書き起こしてみると、改めて農業の課題解決では地域はどうにもならない気がしてきます。農業の課題は、解決したとしても地域への人口流入を促進はできないし、地域からの人口流出を妨げることはできそうにないということです。単純に、人口流出は教育と職の中央集権化が問題ということです。つまり、農業の課題解決は地域の課題解決には寄与しにくい。

 

これを僕に対する要約にすると、「農業に関わる仕事につくなら、地域の課題には関われない」ということです。地域の課題の内、「人口の流出」を「内需の拡大」によって解決させようとすることは間違っていないと思っていますし、それは以前の記事で紹介した本でも語られます。しかし、それには農業とは違うアプローチが必要なようです。地域の活性化をしたいか、農業の仕事につきたいか。

 

どうやら自分に、そしてこれからの時代に再度耳を傾ける必要がありそうです。個人的にパッと思いついたのは、農業系の仕事をしながら、個人で地域活性に関わる仕事を走らせ、ダブルワークとして行うことです。パッと思いついたこと以外にも、色々な選択肢を検討しながら転職活動をしてゆこうと思います。その中で、いろんな方から地域の再生に関する話を聞いてゆき、事実の把握を正確に行なってゆこうと思います。

 

 

 

 

やてん

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