ステルス・サブスクリプションーお金の教養とは、見えない仕掛けを見破る目の事であるー

最近、「お金の教養が必要である」と様々なメディアで取り上げられています。少し前にも「金持ち父さん貧乏父さん」という本が流行り、どうにも手を替え品を替え、同じ事を言っているように感じます。「お金の教養が必要である」は、もっと直訳すると、「貯金じゃなくて投資しろ」です。「お金を働かせろ」と、別の表現でも言われています。

 

CanCamやOggi、MOREなど女性ファッション誌ですら、OLの財布事情と称して、読者の月間のお金の使い方をフィーチャーし、「この人たちはNISAなどを使って、投資にお金を回していますよ」と訴えてきます。

女性ファッション誌『MORE』内での企画「あなたの給与明細見せてください!」

 

ところで、「投資をしている事」が、「お金の教養がある事」なのでしょうか。「お金の教養」とは、何でしょうか。なぜ、貯金よりも投資をする事が大事なのでしょうか。マイナス金利の世の中において、金利がプラスだから?

 

いくつもの疑問が生まれてきますが、それら全てに自分で回答するのにはかなりの分量になるので、今回は「お金の教養」に的を絞って考えてみようと思います。

 

僕らは皆、すでに投資家である

「投資をしろ」と色々なメディアが手を替え品を替え語りかけてきますが、実は僕らは、生まれながらにして投資家でもあります。その投資先が霧の向こうにあるため、気がつけないだけです。

 

大学の研究開発費は?小中学校で、将来活躍する子供たちに勉強してもらうのは?(小中学校の学費、一人当たり年間100万円くらいかかっているの、ご存知ですか?決して大学が高すぎるわけではないのです。)また、将来の社会保障のための基金への積み立てと、その運用は?それらの判断を、誰が行なっている?その人たちを選ぶのは?その人たちの給料は?

 

実は、僕らが定期的に支払っているお金は、将来の自分たちのためにしっかり投資されています。そういう意味では、僕らはすでに投資家ではないかと考えます。上のMOREで記載されている明細を見ると、投資にかけるお金と同程度の金額を、毎月国や地方に投資している人もいる事がわかります。

 

ところがほとんどの人は、これらのお金を「よく分からないけど、払わなければならないお金」で片づけてしまっていると感じます。もっと言うと、このお金を収入から差し引いたお金を「自分の収入」と再定義している人も多いようです。

 

ここの霧を晴らさない限りは、お金の教養は無いも同然ではないかと感じます。なぜなら、「大事だ」と啓発される投資は、僕らが定期的に支払っているこのお金をもとに変動すると言っても過言ではないからです。

 

皆、「読まない新聞」を買っている

さて、上では「僕らは皆投資家である」との考えを表明しました。ここからは、「お金を投資しているけど、それを活用している人はほとんどいない」という事を書きます。

 

一つ、時事から質問を投げかけてみます。

 

コロナウイルスに関して、どのくらいご存知ですか?検出された株の種類とその特徴、ワクチンによる効果は?そもそも感染の予防になる、日常の過ごし方は?毎日ニュースで個々の情報が流れてくるばかりで、全体観は持てていないのではないでしょうか。

 

これらの情報を分類しながら、随時更新してくれているサイトがあります。厚生労働省のサイトです。定期的に見直せば、大体の自分の行動の指針にもできます。

 

この便利なサイトですが、勝手に毎日更新されてゆくわけではなく、当然更新してくれる人がいますし、その更新する情報を日夜まとめてくれる人も、データを集めてくれる人もいます。もちろん厚生労働省で働いている職員の方です。

 

その方々はそれを仕事に(それだけではないけど)されていますが、給料はどこから発生しているのか。それも、僕らが毎日、あるいは毎月、あるいは毎年支払うお金です。

 

厚労省だけでなく、どこの省庁も、誰かの役に立つために様々な情報を開示してくれており、また、僕らから意見を取り入れるための「パブリックコメント」というものを設置してもいます。実の所、僕らは普段、テレビやアプリで触れる簡単なニュースのみを見て、都度なんとなく身の回りの状況を把握しているに過ぎないのです。

 

自分たちには縁遠い事だと言い切ってしまうのは簡単ですが、実際はそんな事はありません。アベノミクスとは何をする事なのか、自分含め、身の回りに知っている人は何人いますか?経済政策、あるいは制度・ガイドライン作りは市場のルールを変える可能性があります。外務省の外交と関税の話も、国富の増減に関わるし、その増減は投資先の趨勢にも関わる話です。

 

省庁で日々行われている審議会や分科会では、今後、自国はどうしてゆくべきか、という数年〜10年先の事が検討されています。代表的には教育制度などですが、それに限らず、多様な分科会・審議会があります。

 

そこでは、有識者が呼ばれ、専門的な議論を重ねた結果、ルールや仕組みが考案され、国はそれを施行します。数年経ってうまくいかなければ、再度検討され・・と続いてゆきます。

 

これらも、僕らが払っているお金で行われている事です。このお金の使われ方によって、各産業・分野において経済を成長させてゆく、あるいは衰退に対処するための検討が行われています。その決定が投資に関係ないとなぜ言えるのか。特に世界への小口分散投資ではなく、国内銘柄への投資をされている方には、必ず関係してくるはずです。自分が投資している領域に関係する省庁が発表するデータくらい、1次情報を抑えているべきですし、仕組みが変わる場合、業界の動態がどのように変わるのか、それによる株価への長期的な影響はどうか、なども考えるべきです。

 

それができて初めて、「お金の教養がある」と判断されるのではないかな、と思います。このように、日夜更新される、ある種の「新聞」は、ほとんどの方が読まない、もったいない投資先の一つだな、と感じます。

 

議員という金融商品

議員とて、結局は公務員であり、公務員には僕らが投資をして働いてもらっています。まさに、お金に働いてもらっています。その働いてもらう人を選ぶ行為が、選挙です。この選挙は、投資先の銘柄や組み合わせを考えることによく似ていますが、株式投資や信託ほど真剣になされていないのが現実です。

 

これは、一方では政府の責任でもあるように感じます。アベノミクスで経済が上向きになったと感じている人はほとんどいませんし、「老後2, 000万」だったりと、そういう将来への危機感から、「政府を頼りにするのではなく、自分で自分の身を守ろう」と意思を持つ方も、投資をされる方の中には多いはずです。

 

もちろん自分で自分を守る投資も重要でしょうが、今投資している政治家という投資銘柄についても、もう少し目を向けて良いではないかと思います。政治家や政党の方針によって、国内産業の追い風、向かい風が左右されることもあります。

 

代表的、かつ喫緊の大きな問題は、「財政政策優位か、金融政策優位か」です。この両派閥は短期間に繰り返し入れ替わっており、そのせいで、不景気への抜本的な解決に乗り出せないでいるように感じています。

 

政策と産業の関係でいえば、レジ袋有料化や、カーボンニュートラルの考え方は、プラスチックに対して、確実に向かい風ですし、そうなると、包装にプラスチックを大量に使っているお菓子メーカーも打撃を受ける可能性があります。一方、紙包装の分野は伸びるかもしれませんし、そうなると再生紙領域や林業が上向きになるかもしれません。

 

カーボンニュートラルを進めながら、一方原発には頼らない、という方針は、かなりの財務体力が必要になると感じます。現在、原発が発電していた電力を石炭とLNGが代替しているため、電気の値段が大きく変わっていませんが、両者とも炭素化合物ですから、カーボンの代表です。その割合を減らしながら、新エネルギー(風力など)を使って46パーセントの炭素削減をするとは言いますが、その財源はどうなるのでしょう?

エネルギー白書2021 第1章 国内エネルギー動向 より抜粋

 

・・こうした主張は、各政党によります。政治とは結局、「経済成長の方針を決める事」と、それをもとに「お金の使い道を決める事」で、選挙とは、その方向性を僕らが選ぶ事です。

 

思っている以上に重要ではないでしょうか。投じる相手を決めるのは煩わしいし、内容的に相談するのも難しいしですが、「なんとなく」や「知っている」「駅で見かけた」で投資先を選んでいる結果が、今なのです。

 

経済政策や、カーボンニュートラルなどの政策の方針に対して、自分の意見を持って人と話す機会は、もっとあっていいのでは?と思います。

 

そして、意見を持つために、「読まれない新聞」を「今までは読まなかった新聞」にし、情報収集をしてゆくと、驚く事が多いです。こんなに色々な情報が、毎日更新されていたんだ。こんなに多くの決め事が知らない間になされていたんだ、と。

 

はじめは、触れるだけで疲れてしまう内容でも、次第に慣れてゆき、整理する中で、自分の考えも深まってゆき、自分が支持すべき政党の形も作られてゆきます。

 

政治に無関心な人々を生み出したのは、確かに「期待できない政府」の責任でもあると思いますが、その前段階である選挙において、果たして僕らはどれだけ情報収集をし、投資先を選べていたでしょうか。この選択を蔑ろにしてしまう事は、つまり、自分たちのお金の使い道を考えない事になるのではないかと僕は感じます。もしかしたら、「期待できない政府」を、「少しは未来に期待できる政府」にできるかもしれないのだから。

 

「お金の教養」とは結局何だったのか

まとめます。結局、「お金の教養」とは何だったのでしょうか。僕は、経済という名の「無形の仕掛け」を理解する事だと考えます。そして、その経済の方向性を決定する「政府」に対して、自分の意見を持った上で、「選挙」という意思表示ができる事。もちろん、一経営体としての会社への影響を考える上で、経営学や会計の知識も必要でしょう。これも、「無形の仕掛け」の一つです。

 

要するに、「お金の教養」とは、「見えないものを見破る力」だと考えられます。

 

公的な投資と、私的な投資、どちらが先か、大事か、という事はないと思いますが、どちらかだけでは「お金の教養」は育めないと考えます。この記事を読んでいる内に、文字通りの「投資」だけでは不足している、と考え、身近の誰かと対話をし、少しでも「お金の教養」や「投資」に関して考えてもらえるきっかけになれば、と思います。

 

おわりに。僭越ながら、小さな挑戦状を置いて、筆を置く事にします。

 

なぜ、貯金よりも投資をすべきか、その理由を、利率以外の側面から説明できますか?また、それが成功する条件は何か、その条件を揃えるには何が必要か、自分の考えを持てますか?

 

ちなみにこれは、僕が昨年、自分に対して問い続けた事で、今でも考えているテーマです。一緒に考えてもらえたら嬉しいです。

 

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今回の主題だった経産省と財務省と官邸については載せておこうと思います。興味に応じて、いろいろ登録してみてください。他の省庁のメルマガもありますよ!

 

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やてん

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