農業は本当に「特別」大変なのか。農家について考える

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「農家さんは、暑い中大変」って・・まさか、長時間鍬で畑を耕していると思っているのでは⁉︎と、以前農家さんと、冗談交じりに話していました。

 

こんにちは、やてんです。鍬で耕すことはほとんどしません。さらに言うなら、クーラーが入るトラクターで畑を耕していますよ。近頃は音楽も流しながら作業できるってさ。すごい。

 

なんでこんな話をするかと言うと、僕は農家の魅力を多くの人に伝えたいからです。

 

「農家」につきまとう厄介なイメージ

「農家」って言うと、一般的には「職人気質」とか「炎天下の中大変そう」とか「朝早くから夜遅くまで・・」とか「体力使いそう」とか、こういうイメージが先行しすぎて地球を一周以上回ってしまっているのが現状です。

 

夏の炎天下の話をし始めたら、もはや高校球児の方が過酷です。農家は昼は昼寝している人が多いですから。その辺は他の人たちよりも自然とも自分の体とも柔軟にうまく付き合っていますね。

 

農家は職業の一つの候補で、魅力がたくさん

話を戻すと、僕は農家の魅力を伝えて、できれば農家を他の仕事と同じラインまで引き上げたいと思っています。

 

「エンジニア」「自動車メーカー」「農家」って感じで、ちゃんと多くの人の中に、選択肢として想起してもらえるような職業になって欲しいんですよね。

 

なぜか。農業には地域性が強く、そこが地域毎の面白さを引き出す鍵になっていると思うからです。

 

そして、地域として農業が強くなって、名産品ができれば食での方面も盛り上がり、名産品を作る仕事には地域全体で「誇り」も生まれます。

 

すると若い就農者が増えて、「農家っていいものだ」って言う人が身近に増え、地域全体が元気になってゆくとも思います。

 

まずは「農家」を知って欲しい

職業といえば会社員になりがちですが、自分の地域で、あるいは別の地域で農業をするってこともアリになっていって欲しい。

 

でもまずは、非農家の人たちに、「農家が特別」っていう認識を取り去ってもらわないといけないと思いました。農家はコミュニティが閉鎖的なこともあって、農業の情報が外の人たちには伝わらないことが多いです。

 

その知識の溝とでも言いましょうか、ズレがあるせいで、どこか特別な香りを農業が醸し出してしまっているのだと思うのですが、僕は百人以上の農家さんから話を聞いていて(中には脱サラの人もいる)、ある結論にたどり着きました。

 

どの仕事にも「大変さ」も「面白さ」もある。ただ、その種類が違うだけ

 

農家の人のことを取材する記事を読むと、「この人はこんなに野菜にこだわってて」とか「有機栽培で」とか技術面を話しがちで、生活面というか、どういう生活をしているとかは取材してこないものです。

 

その上、「作り手がいて・・ストーリーがあって・・」って、そんなのテレビでもパソコンも冷蔵庫も洗濯機も、果ては今着ている服(全裸の人にはすみません)も、なんでもそうだわ!

 

こういう情報の偏りも、「農家は特殊」と言われてしまう理由かなと思います。なんでそんなに農業を、野菜を作る仕事を特殊にしたがるんだろうか。

 

そんな経緯で、これからは農家という生き方について、いろんな方面で話をしてゆこうと思います。手始めとして、今回は、記事3つに分けて、「別に農業は特別ではない」ってことを仕事内容(農作業)からお話しようと思います。

 

この話をするときに、僕はよくメロン栽培の話を営業とかけて話すのですが、それについて記事でも紹介しようと思います。

 

 

メロンのネットはこうしてできる

ギフト用などに使われるメロンにはネットが入っています。これは、果実が膨らんでいる内に皮が割れて、果汁が漏れ、それが固まってできたものです。このネットの彫りが深く、また均一な太さ、密度で張られているメロンを作るには「匠」とも呼べる技術が必要とされています。

 

市場でもその価値は理解され、百貨店で5,000円〜10,000円で売られる静岡の袋井メロンなどのネットは素晴らしい物です。

 

皆さんもこのネットが綺麗なのは見ればわかると思いますが、ネットが均一であることがどれくらい価値があることなのかは、意外と知られていません。

 

ネットメロンのネットの価値は、そのネットを作るに至るまでの、栽培方法の緻密さに由来します。ネットが均一に出るためには、均一な割れ方をしなければならなく、つまり果実がどの方向にも同じ肥大をしなければなりません。そのためには、もともといい形の果実(花)をつける必要があります。

 

いい花は、だいたい10枚目〜14枚目の葉の節(人で言う出産適齢期のようなものがメロンにもあります)から出る側枝に着くものなので、その時期に、いい花を咲かせる必要があります。

 

ではその時期にいい花を咲かすためには・・と遡ってゆくと、結局苗づくりからしっかりしなければならないのです。

 

いい花をつけるだけではダメ

では、いい花をつけてそれを果実にすればいいか? 否。それ以降も大変な管理があります。

 

メロンの果実には縦伸び期間と横伸び期間があります。先に縦が伸びて、後に横が伸びます。その間に硬果期という期間がありまして、この時期、メロンはどちらの方向にも肥大しません。

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この期間と、それ以外の期間では、温度や湿度の管理が異なります。また、夕方と昼でも、ハウス内の環境を変えるために、農家さんは色々手を尽くします。

 

例えば、ハウスの側面にはだいたい「巻き上げ」があります。空気を横から入れられるように、開けたり閉めたりできる装置をのことです。
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その巻き上げの開け閉めで、ハウス内の温度や湿度を調節し、果実肥大期には閉めて高温度、高湿度に(こうすると、細胞も柔らかくなって肥大しやすくなる)し、硬果期には逆の管理をする、など、色々装置を使い分けて管理をします。

 

この開け閉めを一括で管理するためには、ハウス内の生育状況も揃っていなければなりません。硬果期と果実肥大期が別の株で重なると、どちらかを諦めなければならなくなり、良品の収穫量が減ってしまいます。

 

ではどうするかというと、この時に生育ステージが揃うように、苗の状態からほぼ同じ生育状況で作って、栽培期間中、ずっと合わせて管理してゆくということになります。

 

全部の作業が密に繋がっており、全てが逆算なのです。

 

こう見ると「大変なんだなぁ」と感想が漏れてしまうのですが、ちょっと待って欲しいです。じゃあ、会社員は大変じゃないのか?楽なのか?全然そんなことはないと個人的には思います。

 

会社員も全然楽じゃない

例えば営業職に関して考えてみます。

 

いきなり「◯万円の受注を来月までにとってきてくれ」と言われ、その金額の受注をとってくることができるでしょうか。できないはずです。営業職に関しても、それなりに積み重ねが必要です。

 

まず、信頼関係の下積みが必要です。こまめに話を伺いに行ったり、逆に、その取引先の人たちが興味を持ちそうな情報を持って行ったり、その中で、困っていることや、改善点を聞いたり、考えたり。

 

何度か話たりしてみる中で、ようやく解決法がわかってきて、注文は取れるのだと思います。解決法自体も、知識を持たなければ思い浮かびませんし、知識の習得という面でも継続的な勉強が必要です。

 

それだけではありません。目線あわせができることも大切です。その人の困っていることを理解するには、その人の立場をイメージできるまでにその立場を理解することも必要です。

 

仕事同士が繋がっているのはどんな仕事でも同じ

受注を取る、交渉をするよりも、それ以外の準備時間の使い方が受注ができるかどうかを決めるとも思うのですが、要は、農業以外においても、仕事には流れや順序ああるし、準備も必要で、逆算思考であるということです。

 

言い換えれば、これら一連の行動も、それぞれが独立したものではなく、お互いに影響し合っています。そういうところは、メロンの栽培と何も変わりません。扱うものが違うだけです。

 

営業も大変です。「農家 ”は” 大変」というのが頭にあるせいで忘れがちですが、会社員の仕事とて、しっかり給料を貰うためにはそれなりに仕事同士の繋がりを意識して試行錯誤する必要があります。それが面白さでもありますね。

 

相手が人か植物かなど、細かな違いはありますが、その職業の「大変さ」は、相手が人か植物かでは決まらないと思います。

 

農家は、「特別に」大変な仕事ではないのです。

 

農家の魅力とは

特別ではないとは言えど、農家には農家だけの魅力もあると思います。最後に、簡単に紹介したいと思います。

 

まず、一家が経営体になるため、経営をできるという点です。栽培しながら売り方などに関しても考える。こんなことは会社員ではなかなかできません。考えることはできても、組織の構造上、経営はできないでしょう。一方、新規就農は、ほとんど起業と同じだと思われます。

 

次に、自分で裁量できる部分が広いです。基本、作物に合わせて動きますが、夏の暑い時期は、昼休憩は12時から15時くらいまであって、結構みんな昼寝しています。この時間の使い方は、会社員にはできません。

 

自分で考えることが好きな人には、農家はもってこいだと思います。

 

もう一つ、ある程度大きい面積を使えば、結構儲かるという点があります。同じ機械を使うとするなら、なるべく大きい面積でやれば、単位面積あたりの経費は減ってゆきます。

 

すると、ある程度の面積をやると、利益が出るようになります。キャベツやハクサイの場合だと、5町(5ヘクタール)で3000万くらいの売り上げが入ります。そこから色々引いても、残る人は800万以上利益が残ると思います。中にはもっと得る人たちもいるらしいです。

 

これを、若い経営者でも可能にするのが、農業です。もちろん大変なこともあります。毎年うまくいくわけじゃなくて、どこかでは自然災害の被害を被るかもしれません。

 

でも、そんなこと言い始めたら、何をするにもダメな理由しか出てきません。結局、自分がどういう風に仕事をしたいかなのだと思います。どんな仕事にもメリットもデメリットもあります。

 

農家に合う人は、農家をするといいし、そうでない人は、別の仕事をすればいい。結局は自分にあっているか、そうでないかの取捨選択であって、何かが「特別」な訳ではないのだと、農家さんと話していて思いました。

 

土地の話など、まだまだ色々他の職業との違いもありますが、それはまたの機会に。

 

それではまた!

 

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