統合と分裂の平衡 M&Aの意義について考える

まさか、こんな記事が令和初になろうことは。もっと趣味に近いことかと思っていましたが、年号は変わっても、僕は変わらず、無駄に真面目で、無駄に阿呆なのかもしれません。どうしようも無いですね。

 

結局、4月は波乱万丈の幕開けで、なんと、平成最後をニートとして走りきり、令和をニートとしてスタートしたのです。なんてアニバーサリーなニートですかね。

 

増加傾向中のM&A

中小企業白書(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/)によると、最近、M&Aが増えてきているようです。また、M&Aは生産性を上げる方法としても注目されています。M&Aによる生産性の向上には、シェア拡大(規模の経済)も要因としてあげられるでしょうが、もう一つ、重要な要因があると思っています。

 

それは、業務プロセスの洗い出しによる、無駄の省略、プロセスの統合です。根幹となるビジネスモデルが確立しているとはいえ、時代によってビジネスモデル内のどこに焦点を置くべきかは変わってくるでしょう。これは、仕事のライフサイクルによるものです。

 

そんなわけで、確立以来変わって来なかった業務プロセスを定期的に刷新することは非常に効果的で、「今の自社のプロセスのうち、焦点を当てるべきはどこか」を知ることや、その点に力を入れるために自社の業務を調整し直すきっかけとして、業務プロセスの洗い出しは大きな意味を与えるようです。

 

「業務プロセス洗い出し」の意義

業務プロセスの刷新の効果は、他にもあると考えられます。設備投資やIT化における生産性向上の効果をより大きくしてくれることも報告されています。業務プロセスを洗い出す中で、業務のうち、何を効率化できるのか、すべきなのかを知ることができるからでしょう。

 

つまり、業務プロセスの洗い出しは、生産性向上のとっかかりとして、資本コスト(機械、システムへの投資)をかけずに済ませる非常に効果的な方法と言うことです。

 

しかし、業務プロセスの洗い出しをした方が良いとわかっていても、それができない会社はたくさんあって、だいたい日本の中小企業のうち半分くらいの会社はやりたいけどできないようです。なぜか。できない会社の半数は、その理由を「時間がないから」と答えています。

 

「時間がない」のはきっと「お金がない」からでしょう。投資もできない、し、その投資のためのお金を稼ぐにも、今のやり方では時間をかけるしかない、というループの状態にあるものと考えられます。僕の弟は地方銀行で勤めていますが、「銀行は融資ではなく、信託や保険の手数料で儲けている。が、本業の融資をしないなら銀行である意味がない」と、銀行が何でも屋になりつつあると言っています。

 

また、何でも屋になっている一方、銀行は信用が命のため、契約をするための工数が煩雑で、時間がかかるから、やることを増やすと何をやっているのかわからなくなる、とも言っています。効率化したいけど、する時間がないと言うループのいい(全く良くない)例だな、と感じます。

 

生産性向上の手段としてのM&A

故に、銀行も支店を減らしたり、他の銀行と統合(M&A)したり、業界の構造が変わってきています。「業務プロセスを洗い出すことが良いことだとわかっていても、時間がないからできない」会社にとっては、M&Aが行われる過程で業務が効率化されることを思うと、生産性向上と言う観点から見れば取るべき選択肢なのかもしれないなと感じました。

 

でも、ベンチャー企業はどうでしょうか。ベンチャー企業に投資する投資会社も、投資先のベンチャー企業へM&Aを求めるようになっているようです。もちろん、上場を果たしたとか、それで株価が跳ね上がったところで利益を得ることも、狙いの一つです。

 

しかし、他の手段として、投資したベンチャー企業を他の企業にM&Aさせ、その対価から利益を得ることも主流になりつつあるようなのです。これは、投資契約において、「ドラッグ・アロング・ライト」や、「みなし清算条項」を投資先のベンチャー企業に求めるようになってきている風潮から読み取れます。

 

「ドラッグ・アロング・ライト」や「みなし清算条項」は、簡単に言えば、投資するベンチャー企業の株を自分(投資会社)に集約させやすくしたり、その会社の株を投資会社が売ったときに自分が絶対に損しないようにしたりするための契約です。投資会社とベンチャー企業の間で、もっとも調整が難しいところと言えるかもしれません。

 

 

中小企業とベンチャーではM&Aの意味合いが違うのでは

ベンチャー企業においては、その株の過半数を手に入れて売っ払うための契約をしたり、M&Aをしてしまい、経営陣から事業を取り上げてしまうのには疑問が残ります。

 

もちろん、会社は「個人」ではできない大きさのサービスを「法人」として提供するためのものですから、それができないならなくなって然るべきで、儲けるのが難しいなら見切りをつけるのも大切でしょう。しかし、ベンチャー企業は中小企業とは大きく違うところがあります。

 

中小企業はファミリービジネスが大半で、社長一家が経営を担います。だから、初代が強固な理念を持っていても、2代目以降で経営が傾くことが多いのです。おそらく、効率化したいのにできない会社の多くは、一族経営企業でしょう。社長に理念がないから、基準もない。課題もない。だから、業務重要性の評価軸もない。だから、わかるもので判断する。数字で判断する。在庫とか、ブランドのラインとか。そうして、数字以外の資産に気がつかなくなる。生産性を上げるのは、その「数字以外」に気がつくことが重要であったとしても。

 

中小企業がファミリービジネスの傾向が高いのに対して、ベンチャー企業の経営陣は、強烈な原体験を元に会社を立ち上げることが多いです。中小企業の創業者みたいなものです。ああ言う苦労が自分にはあった。だから、世のそう言う人を減らしたい。とか。今のこの産業は、このままでは衰退してしまう。しかも、やりたがっている人はいるのに、やり始めるのには障壁が多すぎる。だから、それを取り払いたい。とか。

 

数字とかで動いていないベンチャー企業を、「思い」で動いている会社を、効率的と言う理由で、他の会社に任せていいものですかね。投資会社もビジネスですから、利益は必要かもしれません。でも、会社も「法人」と言う人です。人でできています。しかも、ベンチャーはその人たちが同じ「思い」を持って集まっています。「思い」がある人達から貰い受ける事業は、本当に元の事業と同じでしょうか。きっと違うと思います。その事業はきっと抜け殻でしょう。

 

統合>分裂なだけで、統合が全てでは無い

M&Aが日本で一般的になってきているのは、概ね歓迎されるべきだと思います。組織は大きくなりすぎてもまた大変?その通りです。今のEUがそうであるように、きっとどこかで、大きくなったものが細かく分裂してゆく時代がまた来るでしょう。それはそれでいいのです。そこには、「独立したい」という「思い」があるでしょうから。

 

GAFAらのビジネスから伺える「プラットフォーム」が主流な現代は「統合の時代」と言えるのでしょう。しかし、時代の方向がM&Aなどの「統合」へ向かっているからと言って、「思い」を犠牲にしてまでその方向へ向かわせる傾向は、結局「右ならえ」の戦前から何も成長しない、多様性の尊重なんてできていない、そんな社会を思わせます。その時代に欅坂46のようなグループが生まれてくるのは、必然であったかもしれません。って欅坂好きすぎかよ。

 

何が言いたいかと言うと、統合して生産性向上を目指したい人が全てじゃ無いし、事業に特別な思い入れがある人もいる。そう言う人にはそう言う人用の付き合いをしてくれよと、投資会社に対して注意喚起をしたいです。ドラッグ・アロング・ライトやみなし清算条項を認めないからって、ベンチャー企業と揉めないで欲しいですね。いくらアメリカで普通に行われていようが、今の日本にはそれに適したバランスがあるでしょう。

 

題にある「平衡」とはそのバランスのことで、M&Aを「僕は嫌だ」と主張する人と、歓迎する人と、嫌々承諾する人と、社会の状態によって、その人数のバランスがあるでしょう。統合に向かう今は、歓迎する人が多いかもしれません。しかしその数の構成は、時代の背景の変化によって、変わるでしょう。

 

「僕は嫌だ」と言う経営者を黒い羊だと嫌がらず、彼らの思いをちゃんと受け入れてくれる人が、どこかの投資会社にもいることを願っています。

 

 

 

 

やてん

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