特異性を持ちインパクトを与える、鎌倉という街
こちらに来てからはじめて鎌倉に行きました。神奈川に越してくれば、もっとたくさん鎌倉へ行くものだと思っていました。多摩川を渡ったら東京みたいなところに住んでいるせいか、外出なら東京という意識がありましたので、優先順位が低くなっていたようです。
ここ最近朝が寒くて起きる時間も寝る時間も遅くなりがちなので、どうにか起きている間に運動をして、体を疲れさせて、もとの早起きに戻りたかったので、行くと歩き倒せるようなところへ行こうと思い、今日は鎌倉へ訪れました。
今まで東京のいろいろな街に出向き、自分なりに面白味を感じるものをリスト化していました。個人的に好きなのは、「専門店」の街で、それがたくさんある、麻布や六本木などです。中でも、麻布の塩専門店はたまらなく好きです。専門店の良いところは、種類が豊富なことももちろんですが、質の差によるインパクトの大きさです。品目ごとの差や普段使っているものとの差を感じさせてくれるお店というのは、良質な顧客体験を与えてくれますし、インパクトがあったからこそ、人はそれに惹かれるのだと思います。
今日、久しぶりに鎌倉に訪れて気がついたことがありました。鎌倉は、麻布のような専門性をたくさん抱えている街、つまり、インパクトの大きい街であったと言うことです。今まで失念してきたことに、少しショックを覚えつつ、午後の半日をかけて街と海を堪能しました。今日は、鎌倉の中で感動を得たお店の中でも、記憶に残った「伊織」に関してご紹介しようと思います。
伊織
このお店は、四国の今治タオルや柑橘の加工品などを販売している、四国専門店です。特に感動したのは、タオルの感触です。柔すぎず厚手、しかし、ガサガサしていない。この感触は、長持ちしそうでもあります。お値段は…高いですが。ハンカチが1000円ほど。バスタオルは4000円から6000円以上のものまで、様々です。
現在、無印良品のタオルを使っているのですが、3ヶ月ほどでそろそろ生地がすり減り始めています。まだ使えるので使いますが、コストパフォーマンスは、こちらで売っているものの方が良いかも、と思いました。それくらい、触り心地が良かったです。
この手の「簡単な体験」ができる物を売る際は、今回のようなインパクトのある経験になると、一瞬で客は商品と店を覚えるのだなと感じました。たぶん、次のタオルはここで買います。お店に置いているものだけだけでなく、お店の外観もオシャレです。ちょっと入ってみようと思えるお店です。こんな感じに、インパクトが大きいものを取り扱っているお店が多いのが鎌倉です。
一方、わかりにくいインパクトもあります。例えば僕ら土壌医は、野菜の成分と与えた肥料分や土壌中の養分含量との関係を調べることが多いです。有名なのは、ホウレンソウのビタミン含量と、与えた窒素量の相関です。
ビタミンが低いときと、多いとき、あるいは、硝酸を与えた量が少ないときと多いときで味を比べると違いがわかるかどうか?は、数字を見たところで伝わりません。結局は両方を食べて比べてみなければわかりません。
個人的に思うのは、野菜の美味しさでインパクトを与える際のイシューは、よほど品種間差でもない限りは「鮮度」だと僕は思っているので、肥料を与える量など、鮮度に比べれば小さいものだと思われます。しかし、こういう綺麗なグラフを見ると、「これはいいデータだ」と思ってしまうのも、事実です。それが、あまり意味がなくても、です。
鎌倉や麻布で良いもの、つまりインパクトを与えてくれるものに触れるたびに、僕は自分の仕事が与えてきたインパクトとは、どれほどのものだったのか、考えます。素晴らしいものは、それ自体が素晴らしいのですが、それは自分を推し量ってくれる記憶装置にもなるのだと感じます。
これからも良質なインパクトを体験しに鎌倉へ出向いて仕事の内省をしようと思います。
P.S. 本日お邪魔した喫茶店「玄」さんにて。飲む際のカップを選ばせてくれる。オシャレで雰囲気あります。鎌倉へ立ち寄った際は、ぜひお立ち寄りください。