肥料取締制度に係る意見交換会 第二回に参加してきました。戦略性を伸ばす制度作りとは

前ページに引き続きまとめてゆきます。このページでは4つのポイントの内、2つ目、3つ目をまとめて考えてゆこうと思います。

4つのポイント

有機肥料の表示・原料

化成肥料などの表示

混合堆肥複合肥料、庭先配合について

制度以外の問題(消費者への理解など)

上から2つ目と3つ目に関してまとめて考えてゆきます。

カルシウム、ホウ素は多少に関わらず表示してもいいんじゃないか。

化学肥料の中には、本来、窒素、リン酸、カリウムの三要素のみが配合されていますが、それ以外の成分が一緒に入った肥料もあります。その成分は、カルシウム、マグネシウムであることが多く、ごく稀にホウ素が入っていることもあります。

中には、肥料自体でカルシウム・マグネシウム・カリウム(植物に必要な三大ミネラル)のバランスを丁度いい形に設計したものもあります。本来、カルシウムと肥料は別々に売られており、そのためカルシウムを散布して、肥料を散布して、と二度手間でした。これが一袋で補えるなら、農家的には非常に楽なのです。

しかし、カルシウムで例えると、成分的に、重量で39パーセント以上を超えないと、その肥料にカルシウムが入っていることを表記できないのです。これは、肥料を売る側も、買った農家側も結構困っていると感じています。僕自身肥料を売る側でしたが、苦土石灰入りの肥料に関しては、カルシウム含有の表記がないために、袋を見てもらっただけではその魅力が伝わらないと感じていました。

また、農家側も買ったはいいものの、肥料がどんなものだったか忘れること、結構あるんですよね。そんなときに、N-P-K-Ca-Mg  14-5-8-16-8と書かれていると、「ああ、カルシウムを撒かなくていいんだ」と瞬時に把握できます。この表記範囲の改善は、是非ともやっていただきたいと感じます。

庭先配合、混合堆肥複合肥料

農家さんの中には、有機肥料をいろんな廃棄物とかと混ぜて自分で作る方もみえるそうです。有機肥料の自家製造を、庭先配合と言うそうなのですが、実は、これには結構問題があるそうなのです。

前のページで、有機肥料の原料の安全性に関して国・メーカー・卸が血眼になっていることは書きましたが、庭先配合の責任の所在を明確にする規制が必要だという話が出ました。かなりレベルの低い話で、会社勤めの人間としては信じがたいところではありました。つまり、それくらい農業関係の法整備はまだ雑多なのだと思います。

ちなみに庭先配合に関しては、それを行う場合からの届け出を義務付け、窓口を設けるのはどうかという話になりました。そうすれば、責任の発生と所在に関して事前の周知ができます。庭先配合で起こった問題のデータ集めもできます。

そんな話の流れから、肥料に関する詳細情報の提供場所としての役割も兼ねて、一つ相談しやすい窓口を作るという方向性になるような気がします。そうなると、窓口への相談義務の周知の徹底が肝ですね。こういった相談窓口は、今回の会議に至ったような課題を現場から吸収するのにも役に立ちますので、是非作り、様々な方へ知ってもらってほしいと思います。と言うか、なんなら僕がやりたい笑

混合堆肥複合肥料の比率に関しては第一回目の意見交換会をまとめた記事に書きましたが、この辺りはただ割合を増やすことだけではなく、増やした割合分の有機原料の調達経路に関しても整備が必要なので、少々長引きそうです。おそらく肥料の原料調達や原料の均質性を保証できるサービスを国・メーカー・卸・畜産農家らがそれぞれ協力し合うプラットフォームみたいなものが必要なのだと思います。

これは各生産段階の方々が、自分の仕事だけでなく、生産工程全体を一つのシステムと理解し、自分の行動がシステムに与える影響を知る必要があります。

かなり難易度の高い問題な気がしますが、VRや、そのデータ量を賄う5Gの通信速度が役に立つのかもしれません。5Gには、360°の画面に解像度の高い映像を映し出すだけの通信量と速度を可能にするでしょう。これらの技術によって、現場の問題点を、実際に実物を見ながら関係者同士が理解できるようになる構造を作り上げれば、混合堆肥複合肥料周辺の課題が早期解決へ進むのではないでしょうか。

今回はこの辺で。次回、制度以外の問題と、結論をまとめてゆきます。

最後のページにゆきます。

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やてん

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